House in Nakameguro

2025

目黒川にほど近く、店舗や住宅、工場が混在するエリアに建つ、夫婦と2匹の犬、1匹の猫のための住宅である。

隣地には高さのある工場が建ち並ぶ。その環境の中で、プライバシーを保ちながらも光と風を柔らかく取り込む、バリアフリーの住まいが求められた。

建築は北東面に空地が生まれるよう配置し、その余白と北西の接道面、そしてトップライトから穏やかな光を引き込む構成とした。北西面には高さのあるスチールのカーテンウォールを設け、周囲のインダストリアルな文脈に応答するように、住宅という枠組みを超えたファサードを与えている。避難用の外階段と手すりは最小限のディテールにとどめ、建物本体からセットバックさせることでその存在を静かに消し去った。

1階には4台分のガレージ。2階はキッチン、コンパクトなリビングダイニング、ベッドルーム、バスルームを集約し、日々の暮らしの核としている。一方、3階はゲストを迎えるためのリビングであり、クライアントのアートコレクションが並ぶギャラリーのような空間である。アートや家具への深い造詣をもつクライアントとの対話を重ね、ものと空間の関係を丁寧に紐解きながら、それぞれの存在を静かに際立たせるディテールを追求した。

インテリアは、デッキプレートや鉄骨の柱・梁を現しとしつつ、マットな塗装を施すことで無骨なコントラストをコントロールしている。内壁の珪藻土、床材、そして家具のトーンが異素材を穏やかに調和させ、生活空間としての柔らかさと、アートが息づくための適度な緊張感を両立させている。
ガラス、植栽、そしてカーテンを透過して光が滲み出すその姿は、夜の街並みに対しても静かで確かな存在感を与えている。