KEIJI ASHIZAWA DESIGN

ブルーボトルコーヒーの店舗は、これまでも各地の文化や風景と共鳴しながら、その土地に根ざした空間をつくり続けてきた。心斎橋カフェでは、にぎわいの中に静けさを見出し、コーヒーを味わう場であると同時に、新しい文化と出会う場所としてデザインしている。

大阪城や通天閣に見られる幾何学的なモチーフを手がかりに、建築がもつブルータリズム的な力強さと、素材がもたらす柔らかさとの調和を追求した。木やテキスタイルを組み合わせることで、硬質と温もり、陰影と光、直線と幾何的な面が交錯し、空間全体に穏やかなリズムを生み出している。

「黄金の茶室」や大阪らしい華やかさに着想を得て、照明や家具、アートにごく控えめなゴールドの反射を加えた。そのささやかな輝きが、落ち着いた空間に品のあるアクセントを添えている。

客席は屋内外に多様に設けられ、ひとりでも、グループでも心地よく過ごせる構成とした。ブルーボトルコーヒーらしいゆったりとした時間の流れを大切にしながら、地域に開かれ、日常の中に静かな喜びをもたらすカフェを目指した。