House in Hayama

2018

東京都心から1時間ほどの距離にある葉山は、海水浴が楽しめ、古都鎌倉に隣接した夏の観光地として知られている。また都心から通勤距離範囲内にある居住地としても人気がある。クライアントは、学生時代にヨットに打ち込み葉山に通っていたため思い入れもあること、都心からの利便性を考えて当該地に別荘を建てることとなった。
敷地は高台にある比較的ゆったりとした分譲地ではあるが、近接する住居があることに加え、高度を取ると海が見える風景が開けることから、3階建て、屋上付きの鉄骨造での計画となった。

クライアントの木材を出来るだけ使いたいという要望と、経年により表情に変化を持つ家にしたいという思いから、外壁や柵にレッドシダー材を採用している。また年間を通して温暖な気候であることから、各寝室に気軽にアクセスできる大きなバルコニーを配し、近隣との緩衝材とすると共に室外に設けた空間から常に外の気配を感じられるようにした。また大きな木製サッシを使い、外壁に使われた木材との一貫性を持たせることで内外空間の一体化を試みている。

内部空間は、軽やかな鉄骨造を木造で囲ったコンテンポラリーな構成ではあるが、床や天井などに可能な限り木材を使い、別荘における安らぎを生みだしている。
リビングスペースを3階にすることでクライアントが希望した景色を望む開放感を実現し、窓を開け放つとテラスにいるような気分になる。物見台のように周辺が見渡せる屋上スペースは、葉山の景色と海をみるために作られている。屋上を空間をリビング空間と出来るだけ近い関係性を保つためダイニング脇からスムーズにいけるようにしっかりとした階段を設けた。木箱から見える鉄骨階段は美しい対比となるように細かいでデティールまで検討をしている。

別荘というよりも2拠点生活のための住宅といったほうがいいかもしれないのだが、今後このような家のあり方が増えていくだろう。その時如何に都心のマンションにはない豊かさを引き出しつつ、日常の延長を作っていけるかは重要でありこの家で求められ実現できたことである。