Loca Niru

2025

シンガポールのHOUSE OF TAN YEOK NEEにある築100年を超える建築の2階に計画されたレストランのインテリアプロジェクトである。

HOUSE OF TAN YEOK NEEはシンガポールに残る最後の伝統的潮州様式の大邸宅として建築的にも文化的にも重要な存在であり、1974年にはシンガポール国定記念物に指定されている。中国南部の伝統建築様式を色濃く残す文化財であり、その保存価値の高い空間に新たなインテリアを計画することは、特別な配慮と責任を伴う試みであったが、歴史的建築の価値を尊重しつつ、現代的な機能と美しさを調和させることを目指した。

Loca Niru は日本人のシェフ窪田修輔氏が「葦原に入っていく白い馬」のイメージから着想を得ており、やさしさ、静かな動き、抑制を象徴している。それらを空間に落とし込むため、光を和らげ、視覚的・音響的なノイズを抑え、特にディナータイムにおいて、整った静けさを感じられる雰囲気を醸し出すようにした。

Karimoku Caseの家具、越前和紙を用いた照明、日本人アーティストによるアートが空間の中で丁寧に設えられることで主張を抑えた佇まいが空間全体の静けさと統一感を導いている。床レベルや素材の切り替えによって構成されたレイアウトは、異なる食の場をひとつの連続した空間の中に内包し、建築・インテリア・料理が一体となった穏やかな体験を生み出している。