The Conran Shop Daikanyama

2023

代官山という東京で最も成熟したストリートにある、槇文彦氏が設計をしたヒルサイドテラス内に新しいコンランショップを設計した。コンランショップが長きにわたって維持してきたブランド感を維持しつつ、アジアと日本のプロダクトを中心に展開する世界でも初めてのコンセプトによるコンランショップとなる。またショップと併設してTEA BARとギャラリー空間も併設している。

ヒルサイドテラス内の個性的な2つの空間において、それぞれの条件と機能に合わせて設計している。一つは大きな吹き抜け空間に自然光が降り注ぐ、通りや中庭の緑とつながりを感じられる地上空間。回遊しながら設られた空間とプロダクトを発見するような体験が得られるようにと考えた。そこからさらに階段を降りたところに、静謐で厳かな雰囲気を持つ地下空間が広がる。

ショップスペースは雑貨やアパレルも売るセレクトショップではあるが、お店の中を誰かの自宅を訪ねるような楽しさを持って回遊できるように、空間が一気に見渡せないように工夫している。ロフト空間は元々あったものだが、家具を含めたクラフト的なもの、作家的なものが商品として並ぶことを考慮し、階段もやや手が込んだものとし、手すりの一部に黒いペーパーコードを用いている。

ショップに並び、落ち着いた色彩の中で企画ごとに変わるギャラリーと櫻井焙茶研究所の櫻井真也氏のディレクションするTEA BAR「聴景居」を併設。入り口には国産の石、鹿児島の薩摩石の踏み石を、カウンターには砕石を混ぜた天板を配している。棚には黒皮鉄を用い、豊かな素材を組み合わせながらも静謐で厳かな空間となっている。双方の空間において、日本、そしてアジアの家具やプロダクト達との相性を考え空間に使われる素材を選び、表情が豊かな素材やクラフトが小気味よく呼応しあってる空間を想定している。

また通りからのショップの見え方やサインの見せ方など、ヒルサイドテラスと通りの関係を吟味して検討を重ねている。より良いストリートとしていくことも、クライアントとともに考えてきたことであり、環境をデザインしていくことこそが、私たちがいつもお店をデザインする時の信念でもある。