Sushi Mizukami

2018

ファサードから、カウンターまでのリズムを大切に、ディテールをつなげることで顧客の体験もデザインした。

Credit

“通りから見えるファサードから、カウンターまでリズム感を作り、デティールをつなげることで顧客の体験もデザインしている。“

皇居の東側に隣接するイギリス大使館の側の、ひっそりとした場所に鮨みずかみはある。ふらりとお店に入るような場所ではない。みずかみを目指してきた人だけがここにたどり着くような場所である。
 
店主である水上さんが、すきやばし次郎での長きにわたる修業を経て、満を辞して開業された鮨屋である。江戸前鮨として、伝統的な空間を作りたいという要望であった。
 
エントランスは、既存の建築の意匠であるアーチを活かし、小さな庭と小さなアプローチ空間を設けている。引き戸を開け、すでにカウンターに着席している客に気を使わせないために設けられたエントリー空間を経て、待合いへと入っていく。待合いに設けたベンチを始め、エントリーの花台やトイレのカウンターには耳付きの欅を使い、シンプルな空間において、特徴的な雰囲気とリズムをつくり出している。カウンターは8席のみ。2人の職人によってテンポ良く鮨が出されていく。すっとした檜のカウンターに座った客から見える景色は、エントランスの意匠を反復したアーチ状になっており、柱によって分断された二つのバックカウンターによって構成されている。
 
美味しい寿司を食べながらも、お店のエントランスのアーチを思い出すか否かは定かではないが、すばらしい鮨とアーチの意匠も含めた空間体験が重なり合うことで、そこでしか得られない食の体験となれば幸いと思う。

Credit

“通りから見えるファサードから、カウンターまでリズム感を作り、デティールをつなげることで顧客の体験もデザインしている。“