2013 - Journal

モチベーション最重要説

宿題からいつまでも目を背ける少年はいつしか40歳目前となり、前回のブログにて出された宿題を放置し続けている。というわけでほっておくことにした。いずれ気がのったら書くこととしたい。
そもそも僕がブログを書き出したのは、書きたいからなのだ。せっかく読んでもらってるにもかかわらず生意気いわせてもらえば、宿題をやるモチベーションではとても書けないということだ。私にとって書くことは作ることに似ている。ブーンと頭がまわってないといいものが書けない。勢いで書き出したものだけが、いいものになる。また書くことによってしかまとまらない考えも多い。みずから書くことでよそ様の文章から学ぶことができる。

しかしながら、設計事務所の所長が書くブログっというのは往々にして読み物としてはどうかというものが多い。なぜかといえば、どうしても仕事を取りたいという下心が見え隠れするからだ。これは私とて、事務所の経済状況によっては大いに活用して宣伝してきたし、否定することはできない。しかしながら、宣伝しながら、同時に書きたい文章を書くことは大変むずかしい。
そして時折思いついたように宣言するわけである。「ブログで仕事をとらない」と。このルールは事務所の経済状況によってはあっさり破られるむねも告白しておく。またかき続けていると、展覧会などの宣伝をしてほしいとお願いされたりする。これも一応お断りしておく。まあ、ここまで筆を休ませておいて読者がどれだけもどってくるかははなはだ怪しいのだけれど。

前段はこれくらいにして、ブログらしく日々の出来事をフックにして書き始めたい。といっても内容の濃さではなくて、最新情報が頭に残る。先日来社された丹青社の松村さんと仕事のモチベーションについての話になった。新人教育を担当している彼いわく、最近の新人スタッフはまずモチベーションをもたせる必要があるとのだとか。そのなかで、共通の知り合いの事務所で、雇ったばかりのスタッフがやめたという小話を聞いた。「僕にあった事務所ではなかったのでやめます。」すさかずその所長は「あなたにあう事務所などありません。」と答えたという。この返答には100%同意する。あなた中心に社会はまわっていないのだよ。どこかで働いたことないのかなー?。。。しかし、この話を「いまの若者」でくくるというトラップにはまってはいけない。思い起こせば私だって似たようなことを言い出しかねない状況はあったし、一歩まちがえば今頃まったく違う職業についていた可能性もある。そのほうが幸せだった可能性だって否めない。とはいえ、約20年働いてみて思うことは、やっぱり働かないとわからないということなのだけれど、パラダイスのような大学からいきなり週末もないような社会にでると、現実逃避も含めて「自分探し」がはじまってしまうのかなとも思う。転職サイトがやまほどあり、それらがビジネスが成長している状況においては、「自分探し」を彼らは奨励する。自分らしく働けなかったら転職すればいいと。転職ビジネスとしてはそれでいいかもしれないが、本当にそうかといえば私は訝しく思う。いま私は事務所の運営以外に、石巻工房の経営にも首をだしている。石巻工房に出入りする人たちからも同じような話を聞く。ありがたいことに私の事務所ではそうした話は耳に入ってこない。いやそれを言わさない圧力があるのかもしれぬが、それでもスタッフのモチベーションとは何かということはよく考えている。同時に自分のモチベーションについても。

まとまりのない話になってきたが、ものづくりにはモチベーションが一番重要であるといっても過言ではない。仕事であるかぎり、モチベーションがあろうがなかろうが物はできあがってくるだろう。その良しあしは、モチベーションがあるかないかが大きな要素である。「社員にモチベーションを持たすことが重要になってしまった」という状況は、若者がいや、中年もわがままになったのだと結論づけるのは簡単だけれど、あるのとないのでは大きな差が生まれてしまう現実がある以上、そこを上に立つ人間は考えないわけにはいかない。

では、私はいかにしてスタッフのモチベーションをあげていくか。給料を上げていく。これには限界がある。いい仕事だけをとっていく。これも常にというわけにはいかないだろう。いい仕事にしたいとは思うけれど。結局私は朝からニコニコする、事務所のなかに機嫌のわるい人間はいない、遅刻を注意しないということでスタッフにおいて重要な居心地を整備することから始めたのである。そしていまのところ成功していると思う。私のいらいらは若干たまるけれど。