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教えられること

実は今年から武蔵美で非常勤講師を始めた。これが簡単ではない。毎週同じ時間必ず行く場所があるということの大変さを久しぶりに思い出した。それはさておき、幾つか感想を。結果として実は驚いた。大学2年生の力にだ。80人近い学生がいるのだが内数人は大変力がある。僕らの時代よりもはるかに出来る。情報にアクセスしやすいこともあると思う。それは模倣だという批判もあるかもしれないが、建築学生が必ず通る道のようなものだ。であるならば、あの力の入った模型たちはどう説明すればよいのだろう。コンクリートや木で出来た模型たち、ジェッソで塗り固められたマニアックな模型や、畳の大きさほどの模型。実は最初は徒労感を感じていた。まるで吸音室で喋るように吸い込まれる自分の言葉にどうしたものかと。

途中で気がついたことは、当たり前だがスタッフと学生とは接し方を変えないといけなかったということだ。当たり前のようだが、気がついたのは通い始めて数回目くらいだった。クライアントがいるわけではない。会社の名前を出すわけでもない。20歳の学生は建築を設計よりも前に図面というものと格闘し、模型作りに翻弄される本当にフレッシュマンなのだ。

そこでぐっと時計の針を20年前に戻し考えてみた。この時期に建築学生がするべきこと、そんなことがあるんだろうかと考えた。

1:気に入ったペンを見つけること。
2:スケッチブックを持ちメモやスケッチをする習慣を身につけること。
3:物の反対側を覗くこと。ベンチや椅子の裏側をのぞき、いかにして構造が成り立っているか考えること。
4:物の形の理由を考えること。
5:旅行していい建築を見ること。

よくよく見ると
今の僕にも大事なことだった。